音楽表現学
Online ISSN : 2435-1067
Print ISSN : 1348-9038
リストの《ベートーヴェンの交響曲 ピアノ・スコア》考
上山 典子
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 6 巻 p. 1-16

詳細
抄録

 リストのピアノ編曲、《ベートーヴェンの交響曲 ピアノ・スコア》は、27 年の歳月にわたって―厳密には 1837 年と 41 年、そして 1863-4 年の二つの時期に―取り組まれた。1838 年にリスト自身によって書かれた編曲の理念表明は、 1840 年の第 5、6 番の出版譜序文として、原文の仏語とともに出版社による独訳で掲載された。そして 1866 年の全 9 曲出版の際には、日付のみが「1865 年」に変更されたその序文が一語一句変わらぬまま、再び版の冒頭を飾った。その四半世紀以上もの間、リストは本当にこれらの編曲に対する考えを変わらず維持していたのだろうか。本論は、それぞれの編曲成立の過程と取り組みの目的、そして手法を検証することによって、リストの編曲観は決して一様ではなく、これらの年月の間に大きく変化したことを明らかにする。

著者関連情報
© 2008 日本音楽表現学会
次の記事
feedback
Top