目的:山口県では感染症制御支援事業の一環で高齢者介護施設への研修会や訪問ラウンドを実施している.相談を受けても訪問ラウンドに繋がらない,施設と医療機関の感染対策の違いに戸惑うなど具体的な課題があった.事業をふり返り,施設に効果的な感染対策の提案を目的とする.
方法:対象は保健所管内高齢者介護施設(35施設)とした.訪問ラウンド経験施設の感染対策担当職員(3施設,5名)に半構造化面接を実施して現状の課題を抽出し,さらに同意を得た15施設の職員に感染対策の知識,態度,意識への質問票調査を実施し,施設での集団感染の経験,職種など関連する要因で分析した.
結果:感染対策担当者は訪問ラウンドに好意的だが,施設内での情報共有の困難さを抱えていた.郵送質問票調査445名の分析結果から,集団感染の経験は感染性腸炎の知識,手洗いの態度,嘔吐時の対応と負の関連が示唆された.職種では施設看護師とその他の職員での知識に差を認めたが,態度,意識に差は少なかった.
考察:集団感染経験がある施設へは,手洗い,嘔吐時対応について丁寧なフォローアップが必要,研修会を看護師が行う場合は職種ごとの知識の差に配慮し適切な指導が重要である.