2025 年 74 巻 1 号 p. 2-14
今日,高齢化や非感染性疾患(NCDs)への疫学的移行に伴い,世界的にリハビリテーションニーズが高まっている.日本において,障害児・者・高齢者へのリハビリテーション提供は,戦後から関連する法律・制度が整備され徐々に拡大してきた.本稿では,本邦において,医療,介護,福祉など異なる複数のシステムを基盤に重層的に整備されているリハビリテーション提供体制について整理する. 今日の日本におけるリハビリテーション提供にかかる主たる枠組みは,医療保険制度,介護保険制度,そして障害福祉に関する制度である.リハビリテーションサービスの利用者は所得に応じた自己負担は生じるものの,費用はこれらの制度の中で支給される.医療保険制度下では,リハ専門職による医学的なリハビリテーションが提供され,回復期病棟の創設により,特に脳卒中などの脳血管疾患,骨折などの筋骨格系疾患,心疾患などのNCDsに対しては,急性期から回復期までの間,集中的で専門的なリハビリテーションが提供される.介護保険制度では,要介護状態となった高齢者に対して,リハビリテーションが提供される.障害福祉においては,機能訓練のほかに,就労関連のリハビリテーションが提供される.また,地域に暮らす障害のある児に対する発達支援も長期にわたり提供される. 国家資格としてのリハビリテーション専門職の養成は,理学療法士・作業療法士の養成が1965に始まり,言語聴覚士の養成が1997年に開始された.専門職養成のための教育プログラムは主として高校を卒業した者を対象に大学レベルの教育で行われ,そのカリキュラムは社会的なニーズを反映したものとして,厚生労働省および文部科学省の監督のもとで決められている.資格を得るためには,養成校を卒業後,国家試験に合格する必要があり,これが労働力の質の担保に繋がっている. 高齢者,障害児・者の施策は,地域生活・社会参加を促進する方向で進められえており,これにおいてリハビリテーションは重要な役割を果たす.変化し続ける社会のニーズに応じるため,労働力が適切に配置され,求められる役割を最大限果たせるよう,改定を重ねながら制度が構築されている.