夏秋キュウリ,ナスの有機栽培で,病害虫の被害を軽減し上物収量を向上させるための新たな整枝法について検証し,耕種的な管理手法の一つとして有機栽培での安定生産に寄与することを明らかにした.
夏秋キュウリは,主枝から発生する1次側枝を2節で摘心した後,2次側枝を摘心せずに伸長させる.古葉や病葉は積極的に摘除し,空いた棚空間に新たに伸長した2次側枝を誘引する.この整枝法により,新梢や新葉が常時棚に展開する状態となり,2次側枝の摘心や摘葉を行わない場合と比べて総上物収量,特に生育後半期の収量が増大した.病害虫は,ベと病,炭疽病,ウリハムシによる被害が軽減した.
夏秋ナスは,主枝から発生する1次側枝を花直上で摘心するとともに,果実の収穫時に切り戻し整枝(側枝更新剪定)を行う.また古葉や病葉は積極的に摘除する.この整枝法により,新梢や新葉が常時棚に展開する状態となり,側枝更新剪定や摘葉を行わない場合と比べて総上物収量,特に生育後半期の収量が増大し,上物率も向上した.病害虫は,うどんこ病による被害が軽減した.
これらの整枝法は,いずれの作物に対しても新梢や新葉が伸長・展開しやすく,受光条件が良好となるような草姿を生育期間を通じて維持することで,生産性を高めようとしたものである.