油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
リパーゼによる連続グリセロリシス反応に関する疎水性膜型バイオリアクターのスケールアップ
油脂関連化合物の酵素的変換のためのバイオリアクター (第12報)
小泉 義仁向井 一洋村川 清人山根 恒夫
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1987 年 36 巻 8 号 p. 561-564

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抄録

リパーゼによる油脂のグリセロリシス反応に関して, 微孔性疎水性薄膜型バイオリアクターのスケールアップを試みた。平膜型反応器の1ユニットとそれを積み重ねた多層反応器とを用い, Pseudomonas fluorescensのリパーゼによるオリブ油の連続グリセロリシス反応を実施した。膜面積は0.0726m2から1.16m2まで変えた (16倍のスケールアップ) 。また, 油の供給に関して2通りの操作方式, すなわち平行流と直列流, を比較検討した。膜面積の違いや供給方法の違いによらず (油の流量/一枚の膜の面積) 対 (反応率) の関係は一定であったし, (油の流量/一枚の膜の面積) 対 (出口反応液中のモノグリセリド及びジグリドの組成) の関係も一定であった。したがつて, 同一仕様の膜と同一構造のユニットを積層する限り, (油流量/総膜面積) を基準にしてスケールアップが可能であると示唆された。グリセリン (酵素を含む) 中の水分が2.6%程度でも, 出口反応液の酸価は供給オリブ油よりも少し高い値を示した。

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© 公益社団法人 日本油化学会
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