油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
Penicillium属の生産する抗酸化剤であるシトリニンについて
石川 行弘守本 京三浜崎 敞
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1988 年 37 巻 1 号 p. 51-53

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抄録
糸状菌(野生株)の生産する抗酸化剤及びトコフェロール(Toc)の相乗剤を探索するためスクリーニングを行った。Penicillium属の1菌株が優れた抗酸化剤を生産し,本物質は元素分析及びスペクトルデータからシトリニンと同定された。ラードのAOM時間は,シトリニンの添加量に比例して増加し,0.1%添加したとき215hに達したが,Tocとの相乗効果は認められなかった。1H-NMRスペクトルは,シトリニン分子中のヒドロキシル基が分子内水素結合していることを示している。しかし,自動酸化条件において抗酸化性を示すことは,コンホメーション変化によってシトリニン分子中のカルボキシル基のプロトンが抗酸化性に寄与することを示唆している。
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© 公益社団法人 日本油化学会
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