1991 年 40 巻 4 号 p. 288-292
トリアシルグリセリン (TG) の立体特異分析の改良法を述べた。エチルマグネシウムプロミドによるTGの部分分解物を3, 5-ジニトロフェニルウレタン誘導体とし, ラセミ-1及び2-モノアシルグリセリン (MG) 誘導体をシリカゲル板を用いる薄層クロマトグラフィー (TLC) で分離した。1-MG区分はキラル固定相, N- (R) -1- (α-ナフチル) エチルアミノカルボニル- (S) -バリンが化学結合したγ-アミノプロピルシラン化シリカ (Sumichiral OA/4100) キラル固定相を用いて高速液体クロマトグラフィーでsn-1, sn-3MG区分に分離した。全TG, sn-1, sn-2, sn-3MG区分をメチルエステルにし, 毛細管カラムで各メチルエステル区分のガスクロマトグラフィー (GC) して, その結果からsn-1, sn-2, sn-3位置のアシル基分布を計算した。カカオ脂試料をこの方法で分析した。分別前の直接誘導体化はMGの異性化を減らすのに有効である。