1991 年 40 巻 4 号 p. 293-299
コール酸ナトリウム (NaC) とn-デシル=オクタ (オキシエチレン) =エーテル (オクタエチレングリコールモノn-デシルエーテル) (C10E8) 系, 及びデオキシコール酸ナトリウム (NaDC) とC10E8系の二成分混合水溶液のミセルの性質について, 表面張力, ミセルの極性度, ミセルの平均会合数を基にして研究を行った。表面張力測定から得られた臨界ミセル濃度 (cmc) に対して, Rubinghの正則溶液に基づく理論と本村らの過剰熱力学的量の理論を適用し, cmc付近におけるミセル中の胆汁酸塩のモル分率を算出した結果, 仕込みのモル分率よりも低いことがわかった。ピレンを用いたミセルの極性度の測定から, 胆汁酸塩のモル分率の増加と共にミセル内部の疎水性が増加し, NaDC-C10E8系ではモル分率0.57から, またNaC-C10E8系では0.75からその傾向が増加することがわかった。平均会合数は, 胆汁酸塩のモル分率の増加と共に急激に減少し, 高濃度では胆汁酸塩の会合数に近い値が得られた。