油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
リン酸基含有両性界面活性剤の溶血作用
坪根 和幸内田 良一米谷 融
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1992 年 41 巻 12 号 p. 1163-1170

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抄録

リン酸基含有両性界面活性剤の抗微生物活性と構造の関係を明らかにするために, 溶血活性を調べた。その結果, リン酸水素2- (ヘキサデシルジメチルアンモニオ) エチル (I) は他の類縁体と比べて溶血活性が強いことが分かった。
さらに, リン酸水素 (トリアルキルアンモニオ) アルキルの溶血活性-構造相関から次のことが分かった。第1 に, (1) はその同族体の中でも大きな溶血活性を持つ。 第 2 に, 極性基間のメチレン基数が 2 のとき溶血活性が最大で, それ以上のメチレン基数が増すと活性は低下する。この傾向は, 前者 (1) のリン酸基がフリーであるのに対し, 後者の場合, 分子内あるいは分子間で極性基間相互作用することに起因する。 第 3 に, リン酸水素2- (ジアルキルヘキサデシルアンモニオ) エチルの短鎖アルキル基の炭素数が増すと溶血活性が強くなった。この傾向は抗微生物活性の場合と対照的で, 溶血活性と抗微生物活性が生じるときの細胞膜上の分子識別部位が異なることを意味する。しかし, K. pneumoniae に対する抗微生物活性と溶血活性の間に有意な相関が認められ, 細胞膜への高い親和性が抗微生物活性の発現因子として重要であることが分かった。
なお, 静菌作用を有するリン酸水素 2- [N-メチル (2-ヒドロキシテトラデシル) アミノ] エチル= ナトリウムも比較的高い溶血活性を示した。

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