α-, β-及びγ-シクロデキストリンとテトラリン, オレイン酸メチル, リノール酸メチル及びリノレン酸メチルとの包接化合物を合成し, そのシクロデキストリンと基質とのモル比を同定した。また, シクロデキストリンの過酸化物に対する親和性について検討した。少量のシクロデキストリン水溶液を, 酸化劣化した基質に加えかくはんし付加体を形成させ, この時にシクロデキストリンに取り込まれず残存した基質のPOVは, 最初のPOVと比較して低下することが見いだされた。このことは, シクロデキストリンが酸化劣化した基質中に存在する過酸化物を取り込みやすい傾向があることを示している。酸化劣化したテトラリンのPOVの低下において, β-あるいはγ-シクロデキストリンによる処理はα-シクロデキストリンによる処理よりもかなり有効であり, β-シクロデキストリンをホストとして用いた場合に最も顕著な効果が見いだされた。オレイン酸メチルとリノレン酸メチルのPOVの低下にはγ-シクロデキストリンが, リノール酸メチルにはα-シクロデキストリンが最も有効であった。