油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
日本の家庭洗濯における木綿肌着からの皮脂汚こう除去の重要性
村田 守康星野 栄一鈴木 哲
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1992 年 41 巻 6 号 p. 472-479

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抄録

日本の家庭洗濯における重要な問題を見いだすため, 日本全国から無作為に抽出した69世帯で, 洗濯実態調査と普段のままの条件における実用着用-洗濯実験を行った。この調査期間中に洗濯された衣料の71%は純綿, 14%は木綿-合繊混紡であった。平均1.6kgの衣料が57.1 ppm CaCO3の硬度の洗剤液中で室温で洗濯されていた。 40 d の試験期間中に衣料の種類に応じ, 平均13.9から14.7回の着用-洗濯が行われた。
供試した木綿肌着は上記条件で, 特別な添加剤や酵素を含まない供試噴霧乾燥粉末重質洗剤で洗濯された。25世帯から回収された木綿肌着に残留した汚れの量は次の通り;平均14.7回の着用-洗濯の最後に洗濯されないで回収された場合, 残留皮脂量, 27.4mg/g衣料;残留タンパク量, 3.3mg/g衣料であった。最後に洗濯されて回収された場合, 残留皮脂量, 17.0mg/g衣料;残留タンパク量, 0.9mg/g衣料。最後に洗濯された, されないにかかわらず, 木綿肌着中の残留皮脂量は, 残留タンパク量に比べより密接に着用-洗濯回数と相関関係があった。また, 残留皮脂量が大きくなる程, 木綿肌着の黄ばみを表すb値は直線的に増加した。残留タンパク量とb値との相関は残留皮脂量とb値のそれより低かった。皮脂で汚れた木綿下着類は日本の家庭洗濯において最も清浄にしにくい洗濯物のひとつである。

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