油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
水分散系におけるホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルコリンの自動酸化反応に及ぼす窒素原子団の影響
矢津 一正請川 孝治山本 順寛二木 鋭雄
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1994 年 43 巻 4 号 p. 350-356

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抄録

Tween 20ミセル中, 37℃における, ホスファチジルエタノールアミン (PE) 及びホスファチジルコリン (PC) の自動酸化反応に及ぼす窒素原子団の影響について検討した。水溶性アゾ化合物により開始された酸化反応では, PE及びPCの酸化速度は, 二重のアリル水素の数, 及び, アゾ開始剤濃度の平方根に比例したが, 窒素原子団の違いには影響されなかった。Cu (II) イオンにより誘起された酸化反応では, 酸化速度はCu (II) イオン濃度について0.5次であったことから, これらの酸化が脂質ヒドロペルオキシドのCu (II) イオン分解で生じたラジカルにより開始されることが示唆された。 PEの二重のアリル水素あたりの酸化速度は, PC の 6.5 倍であったが, これはおそらくPE-Cu (II) イオン錯体の生成に起因するものであると考えた。Cu (II) イオン誘起の酸化反応に及ぼすエタノールアミン原子団の加速効果は, PCの酸化が非酸化性のジミリストイル PC ではなく, ジミリストイル PE の添加により促進されたことにより確認された。

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