油化学
Online ISSN : 1884-2003
ISSN-L : 0513-398X
かつお節製造における脂質変化及び脂質組成からの市販製品の品質評価
ディミチ レヴェント和田 俊
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1994 年 43 巻 6 号 p. 470-478

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抄録
かつお節製造における節の脂質変化及び市販かつお節の品質に及ぼす脂質の影響について検討した。裸節脂質のトリアシルグリセリン (TG) の組成比は原料の 75.2%から68.3%に減少し, かび付け処理後, TGはさらに25.4%になったのに対し, 遊離脂肪酸 (FFA) は 53%に増えた。これはかびからのリパーゼによる TG の加水分解と考えられ, また, ドコサヘキサエン酸 (DHA) の組成比も FFA の増加に伴って増えた。これらのことから, FFA組成比 (7.1%) とDHAの組成比 (19.1%) がともに低い市販品かつお節はかび付け処理がうまく行われていなかったと判断された。ばい (焙) 乾処理後, ホスファチジルエタノールアミンは 22.5% から6.6%に減少し, ホスファチジルコリンはほとんど変化しなかった。このようにかつお節の脂質分析でその製品の品質評価及び加工処理の適切さを推察した。
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© 公益社団法人 日本油化学会
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