抄録
遺伝子組換え技術は病虫害抵抗性やストレス耐性等が付与された高品質, 高収量の新しい農作物の品種の開発をもたらすと期待されている。1994年には遺伝子組換え技術により開発された日持ちの良いトマトが, 米国において世界で初めて商品化されている。日本においても除草剤の影響を受けないダイズやナタネ, 害虫抵抗性のトウモロコシやジャガイモといった7種類の遺伝子組換え農作物の安全性が確認された。
しかしながら, 一般消費者は遺伝子組換え技術に馴染みが薄く, 不安を感じている。これは技術を理解する事の難しさと, 情報の不足が原因と考えられる。遺伝子組換え技術は来世紀に人類が抱える食料問題, 地球環境問題を解決する技術として重要なため, その生産物を消費者に受け入れてもらうべく, 正しい情報を提供し, 農業バイオテクノロジーを推進する必要がある。