1997 年 46 巻 5 号 p. 573-578,599
HRPを触媒とした過酸化水素によるオレンジIIの退色反応およびナイロン布への移染に対する界面活性剤およびビルダーの影響を検討した (pH9.0, 20℃) 。アニオンおよび非イオン界面活性剤濃度の増大に伴いオレンジIIの退色速度定数は減少した。Triton X-100が共存すると退色速度は70%減少した。一方, アニオン界面活性剤であるSDS共存下で, オレンジIIのナイロン白布への移染に対して, 著しい移染防止効果があった。オレンジIIの退色速度とナイロン布へのオレンジIIの移染に対してビルダーの影響はなかった。次に HRP に SDS とビルダーを配合したモデル洗剤を用いてオレンジIIのナイロン布への移染を検討した。オレンジIIは速やかに分解されてナイロン布への移染は観察されなかった。しかしながら, Triton X-100を配合したモデル洗剤を用いた場合, ナイロン布へのオレンジIIの移染が認められた。これらの結果は, SDSを含む洗剤を使用する場合, HRPを用いた退色反応が移染防止に有効であることを示唆している。