日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
Print ISSN : 1341-8327
ISSN-L : 1341-8327
ペルオキシダーゼ-過酸化水素漂泊剤を用いるオレンジIIの移染防止反応への洗剤成分の影響
森田 みゆき山口 江利子上舘 民夫渡辺 寛人
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 46 巻 5 号 p. 573-578,599

詳細
抄録

HRPを触媒とした過酸化水素によるオレンジIIの退色反応およびナイロン布への移染に対する界面活性剤およびビルダーの影響を検討した (pH9.0, 20℃) 。アニオンおよび非イオン界面活性剤濃度の増大に伴いオレンジIIの退色速度定数は減少した。Triton X-100が共存すると退色速度は70%減少した。一方, アニオン界面活性剤であるSDS共存下で, オレンジIIのナイロン白布への移染に対して, 著しい移染防止効果があった。オレンジIIの退色速度とナイロン布へのオレンジIIの移染に対してビルダーの影響はなかった。次に HRP に SDS とビルダーを配合したモデル洗剤を用いてオレンジIIのナイロン布への移染を検討した。オレンジIIは速やかに分解されてナイロン布への移染は観察されなかった。しかしながら, Triton X-100を配合したモデル洗剤を用いた場合, ナイロン布へのオレンジIIの移染が認められた。これらの結果は, SDSを含む洗剤を使用する場合, HRPを用いた退色反応が移染防止に有効であることを示唆している。

著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top