膜タンパク質可溶化剤として開発された, 非イオン界面活性剤である
n-nonyl-b-D-thiomaltoside (NTM) の溶液物性を総括・把握するため, 溶液の表面張力を種々の温度下で測定 (滴容法) し, 熱力学的に解析・考察した。また, 親水基の寄与を評価するため, decanoyl-
N-methylglucamide (MEGA-10) を同一条件下で測定して比較に供した。すなわち, 両界面活性剤の臨界ミセル濃度 (cmc), 表面過剰量 (吸着量), 界面活性 (表面張力降下度) を決定し, 解析を試みた。また, これらの性質に及ぼすアルコール類 (methanol, ethanol及び1-bu-tanol) 添加効果を調べた。NTMはMEGA-10と同様に非イオン性ながら, 曇り点を持たず, cmc-温度曲線において28~30℃付近に極小を持ち, ヒドロキシル基が強い水和をしている事がわかった。静的光散乱法で会合数を求めてみると (25℃), 16.4と小さい値がでた。また, HLBについても検討したところ, 親水基中の硫黄-S-が, Deviesの尺度で1.5であることがわかった。
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