抄録
種々の界面活性剤単独並びに混合水溶液による有機化合物の可溶化に関する研究について, 準平衡透析法 (SED), ヘッドスペースガスクロマトグラフィー (HSGC), 蒸気圧法 (SVP) により, 物質のミセル-バルク間の分配平衡定数 (可溶化平衡定数), 被可溶化物質のミセル内におけるモル分率並びに活量係数の決定を試みた。可溶化平衡定数は, 被可溶化物質のミセル内におけるモル分率とバルク中に存在する被可溶化物質の比と定義し, 可溶化平衡定数は2次式K=K0 (1-αX+βX2) を用いて解釈が可能である。そこで, 人体に有害な有機物質並びにイオンの除去に関する新しい処理方法開発の一端として, ミセル並びに高分子/界面活性剤複合体による可溶化現象を応用した分離除去方法の確立を試み, 準平衡透析方法並びに蒸気圧法による可溶化平衡定数の測定から有害な有機物質の除去は充分可能であり, 溶存する有機物質の99%は除去されることを明らかにした。