ラクチド (LA; L-, DL-体) とε-カプロラクトン (CL) とのランダムおよびブロック共重合体 (コポリマー), ならびにこれらモノマーの単独重合体 (ホモポリマー) が, 反応条件を適切に変化させることにより, 一つの触媒 [AlEt
3/H
2O (1 : 0.75)] のみを用いて比較的高収率で得られた。
続いて, 得られた (コ) ポリマーの酵素 {コレステロールエステラーゼ (
Pseudomonas sp.由来), プロティナーゼK (
Tritirachium album由来)} ならびに活性汚泥による生分解性を調べた。コレステロールエステラーゼはCLに対して, 一方, プロティナーゼKはLAに対して基質特異性 (分解性) を有していた。したがって, 前者 (エステラーゼ) はCLを多く含むコポリマーを, プロティナーゼKはLAを多く含むコポリマーをよく分解した。ランダムコポリマーの分解性は一般的にブロックコポリマーよりも大きかった。
ポリマーの分解性は酵素の基質特異性やポリマーの一次構造のみならず, 融点や結晶性 (融解熱) のような熱的特性にも大きく依存することが判明した。L-LA/CL (=86/14) ランダムコポリマーは, L-LAホモポリマーの熱的特性をあまり変化させることなく, プロティナーゼKにより容易に分解された。ほどよい酵素分解性を保持しながらも, 非晶性のポリ (DL-LA) に結晶性を付与することが可能であった。これらLA/CLコポリマーはまた活性汚泥によっても分解され得た。
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