日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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4本の疎水鎖を有するレソルシノール系 [14] メタシクロファンによる有機化合物の可溶化
小出 善文李 波川口 勇二正泉寺 秀人江角 邦男
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1998 年 47 巻 1 号 p. 57-63,87

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抄録
4本の疎水鎖を持ったレソルシノール系カリックス [4] アレン ([4] Ar-Rn : テトラアルキル鎖, [4] Ar-Ph : トテラフェニル鎖, [4] Ar-N : テトラナフチル鎖) を合成し, 可溶化剤としての性能を調べた。 [4] Ar-Rn, [4] Ar-Ph, [4] Ar-Nは, 表面あるいは界面に配向し, 長鎖アルコール, ベンゼン, トルエンなどの有機化合物に対して, cmc付近でも高い可溶化能を示した。また長鎖アルコールに対しては, 長鎖アルコールと同じ鎖長の [4] Ar-Rnのときに最大の可溶化量を示し, 芳香族化合物に対しては, 分子サイズの増加とともに可溶化量が小さくなった。4本のヘキシル基を持った [4] Ar-R6は, [4] Ar-Rn, [4] Ar-Ph, [4] Ar-Nの中で最高の可溶化能を示し, 2×10-3Mのときに11倍モル量のヘキサノールを溶解した。 [4] Ar-Rnの高い可溶化能は, [4] Ar-Rnの包接能とミセルへの取り込みに加え, 優れた界面配向性に基づいたマイクロエマルションの形成によるものと考えられる。色素もまた, [4] Ar-Rnへの包接により可溶化された。
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