日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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脂質過酸化反応によるアクロレインの生成とタンパク質修飾
内田 浩二
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1998 年 47 巻 11 号 p. 1207-1215,1277

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抄録

タバコの煙や排気ガスなどに含まれる環境汚染物質アクロレイン (CH2=CH-CHO) とタンパク質との反応を解析し, リジン残基の選択的修飾に伴う新規付加体FDP-リジンの生成を確立した。FDP-リジンはアクロレイン修飾タンパク質のみならず, 酸化LDLからも検出されたことから, 脂質過酸化産物である可能性が示唆された。そこで, FDP-リジンに対するモノクローナル抗体を作製し, in vitro系における抗原物質の生成を免疫化学的手法により検討したところ, LDL過酸化や不飽和脂肪酸自動酸化系などにおいてFDP-リジンの生成が観察された。さらに, 動脈硬化巣などの生体組織においても顕著な陽性染色所見が得られたことなどから, 生体内においてもアクロレインが脂質過酸化反応に伴い生成され, さらにタンパク質との反応により特異的な付加体 (FDP-リジン) を生成することが立証された。

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