抄録
サイトカインによるアポトーシスの誘導においてアラキドン酸やセラミドという脂質メディエーターの重要性が指摘されている。TNFに抵抗性を示す亜株のうちにはcPLA2活性が欠如しているものがある。この細胞にcPLA2のcDNAを発現させると感受性が回復する。さらに親株の感受性細胞をTNF処理するとセラミドの産生がおこるのに対し抵抗性株では起こらない。しかしこの抵抗性株をセラミドで処理するとアポトーシスが誘導される。これらの結果は二つの脂質メディエーターがアポトーシス誘導において重要な役割をはたしていることを示すとともに両者が互いに関連しあっていることを示唆している。本総説ではこれら脂質メディエーターのアポトーシスにおける役割を, 他のメディエーターとの相互関係について留意しつつ, まとめてみたい。