日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
Print ISSN : 1341-8327
ISSN-L : 1341-8327
アポトーシスにおける脂質メディエーターの役割
辻本 雅文
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 47 巻 12 号 p. 1303-1311,1360

詳細
抄録
サイトカインによるアポトーシスの誘導においてアラキドン酸やセラミドという脂質メディエーターの重要性が指摘されている。TNFに抵抗性を示す亜株のうちにはcPLA2活性が欠如しているものがある。この細胞にcPLA2のcDNAを発現させると感受性が回復する。さらに親株の感受性細胞をTNF処理するとセラミドの産生がおこるのに対し抵抗性株では起こらない。しかしこの抵抗性株をセラミドで処理するとアポトーシスが誘導される。これらの結果は二つの脂質メディエーターがアポトーシス誘導において重要な役割をはたしていることを示すとともに両者が互いに関連しあっていることを示唆している。本総説ではこれら脂質メディエーターのアポトーシスにおける役割を, 他のメディエーターとの相互関係について留意しつつ, まとめてみたい。
著者関連情報
© 公益社団法人 日本油化学会
次の記事
feedback
Top