抄録
近年の油脂結晶化技術の進歩について, 特にココアバター及びこれに関連したトリアシルグリセリン (TAG) 類について概観した。ココアバターの主要構成成分である, POP, POS, SOSの多形現象をココアバター多形と比較検討し, さらにこれらTAGの結晶化挙動の解析結果から, チョコレート製造におけるテンパリング工程で起こっている現象を考察した。また, 従来のテンパリング工程に変わる方法として, BOB (β2型) 油脂結晶粉末添加法とこれにより得られるブルーム防止法についてまとめた。さらに, OSOとSOSが等量で分子化合物を形成する特徴を利用し, チョコレート物性を大きく変化させる方法を紹介した。