抄録
アラキドン酸 (AA) とノニオン性界面活性剤ヘプタエチレングリコールドデシルエーテル (HED) とから成る混合ミセルの表面電位を25℃と60℃において蛍光プローブである8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸アンモニウム (ANS) を作用させ蛍光強度を測定することにより求めた。AA-HED混合ミセルの表面電位|-Δψ|はAAのモル分率 (XAA) が増加するにつれて増大し, イオン強度 (I) が増加するにつれて減少した。これらの現象はそれぞれAAの負の電荷とNa+のイオン雰囲気に起因した。表面電荷密度 (σ) はIにはほとんど依存せず, XAAに比例した。このことからAA-HED混合ミセルの表面状態はGouy-Chapmanの理論で表されることが示された。AA-HED混合ミセルの60℃におけるσの絶対値は25℃の値に比べてわずかに減少した。