日本油化学会誌
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海水棲環形動物, エラコ (Pseudopotamilla occelata) の中性スフィンゴ糖脂質, モノ, ジおよびトリグリコシルセラミドの構造
杉田 陸海山家 永子濱名 秀樹佐々木 浩一John T. DULANEY
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1999 年 48 巻 7 号 p. 671-679,724

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抄録
海水棲環動物のエラコ (Pseudopotamilla occelata) から, イオン交換セファデックス, ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸カラムクロマトグラフィーによって5種類の中性糖脂質 (CMS1, CMS2, CDS1, CDS2およびCTS) を単離, 精製した。それらの構造を糖組成分析, メチル化分析, 酵素的加水分解, GC分析, GC-MS分析およびMALDI-TOF MS (マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析装置) 分析によって解析し, CMS1 : Glcβ1-1CerとGalβ1-1Cerの混合物 (1.00 : 0.16); CMS2 : Glcβ1-1Cer; CDS1 : Galα1-4Galβ1-1Cer; CDS2 : Ga1β1-4Glcβ1-1Cer; CTS : GlcNAcβ1-3Ga1β1-4Glcβ1-1Cerであると決定した。これらの糖脂質のセラミド組成は, スフィンゴイド塩基が5種類ともジヒドロキシスフィンゴイド (d18 : 1) を, 脂肪酸はCMS1およびCDS1が飽和酸 (16 : 0, 17 : 0, 18 : 0) を, CDS2およびCTSが不飽和酸 (20 : 1, 22 : 1) を, CMS2がヒドロキシ酸 (h16 : 0, h17 : 0, h18 : 0) を主成分としていた。
さらに, TLC上での挙動および構成成分の分析から, フコース, キシロースおよび2-ο-メチルガラクトースをCTS-糖鎖に加えたペンタおよびヘキサグリコシルセラミドの存在することが示唆された。しかし, この分析過程でテトラグリコシルセラミドに相当するものは検出できなかった。
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