抄録
精製植物油のトランス酸量について精製条件の影響を検討した。さらに日本国内で市販されている食用植物油中のトランス酸についても分析した。その結果1) 脱臭油中のトランス酸量は処理温度が高く, また時間が長くなるほど多くなった。トランス酸は不飽和脂肪酸が多いほど生成量が多かった。2) 大豆油ではトリエンの異性化率はジエンの6.5から16.3倍高く, 精製条件によってトリエンがジエンより異性化されやすいことを示した。3) 市販されている国産植物油と輸入品とではエゴマ油を含むものを除いて, トランス酸含量には明確な差は見られなかった。4) 焙煎ごま油から検出されたトランス酸は, 焙煎によって生成したものと推定した。5) 日本人一人当たり一日に精製植物油から摂取するトランス酸量は0.25gと見積もられる。