抄録
この総説では, リポソームと界面活性剤の相互作用, およびESR法と1H NMR法により得られたリポソームの物理化学的性質についてまとめる。まず, 単独でリポソームを形成する両親媒性物質, および二種類を混合することによりリポソームを形成する両親媒性物質の例を挙げる。次に, リポソームの界面活性剤による可溶化過程, 混合ミセルから界面活性剤を除去することによるリポソームの形成, ミセル-ベシクル転移, およびベシクルサイズの制御法について概説する。次に, オクチルグルコシドを含むベシクル中に溶解した2, 2, 6, 6-テトラメチルピペリジン-N-オキシルの超微細分裂, ベシクル中の5-ドキシルステアリン酸のオーダーパラメーターについて, ミセル-ベシクル転移機構との関連から概説する。さらに, ホスファチジルエタノールアミン/リソホスファチジルコリン (LPC) ベシクルの外葉と内葉に存在するコリンのN-メチル基1H NMRスペクトルより, LPCは主として膜外葉に存在すること, 膜内葉の存在がベシクルの安定性のために重要なことなどが示唆された。