日本油化学会誌
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オーストラリア産ボラの卵塩乾物のワックスエステル含量と組成
林 賢治岸村 栄毅
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2000 年 49 巻 11-12 号 p. 1401-1406,1447

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抄録

オーストラリア産ボラ (Mugil cephalus) の卵塩蔵物とその塩乾物 (カラスミ) の脂質成分を明らかにした。両者の脂質 (TL) 含有率は, 乾燥重量の30.6~31.6%であり, C32およびC34を主成分 (53.1~61.1%) とするワックスエステル (WE : 82.8~84.3%) を含有した。WEの脂肪アルコールは, 16 : 0 (59.3~63.4%) を主成分とする飽和成分 (83.5~86.4%) が特徴的であった。モノエン成分 (11.9~15.0%) はいずれも二重結合位置異性体を含み, 16 : 1n-7 (5.8~9.2%) が主成分であった。また, 15 : 0 (3.1~12.0%) などの奇数炭素成分が存在した。WEの構成脂肪酸は, 16 : 1n-7酸 (34.0~38.8%) などのモノエン酸 (56.1~60.6%) および20 : 5n-3酸, 22 : 5n-3酸, 22 : 6n-3酸などのポリエン酸 (26.6~31.1%) を多量に含有したが, トリアシルグリセリン (TG) では16 : 0酸 (32.9~34.6%), 16 : 1n-7酸 (16.6~22.5%), 18 : 1n-7酸 (7.8~8.7%) が特徴的であった。また, 酸化によるボラ卵塩乾物のTL, WE, TGのポリエン酸の減少は認められなかった。

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