抄録
一本の長鎖アルキル鎖 (n : 10~16) と二つのメチル基で置換され, 一本のアルカンジイル連結鎖 (m : 8~12) で結びつけられた二当量のアンモニウム基を有するビス第四級アンモニウム塩 [Cm-Bis (N-Cn)] をN, N-ジメチルアルキルアミンと1, ω-ジブロモアルカンからあるいは1, ω-ビス (ジメチルアミノ) アルカンとアルキルブロミドから合成した。それらの表面張力 (γcmc), 臨界ミセル濃度 (cmc), ミセルの会合数, 可溶化性および起泡性のような界面化学的性質を測定し, さらに相間移動ハロゲン交換反応における触媒活性を検討した。
クラフト点はnの増加に伴って上昇したが, m (m : 2→10) の増加につれて低下し, さらにmが増加すると上昇することが認められた。相間移動反応における触媒活性はCm-Bis (N-Cn) のnおよびmによって変化した。連結鎖のアルカンジイル鎖の大きさはビス第四級アンモニウム塩の空気-水界面における吸着および水溶液内におけるミセル形成に著しく影響することが結論される。