日本油化学会誌
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2, 3本のアルキル鎖を持ったコンプレキサン型界面活性剤の合成と界面化学的性質
鬼束 優香別府 純一郎吉村 倫一小出 善文正泉寺 秀人江角 邦男
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2000 年 49 巻 9 号 p. 929-935,973

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抄録

2及び3本のアルキル鎖を有するコンプレキサン系多鎖多親水基型界面活性剤 (2Rnida, 2Rnedda, 2Rndtda, 3Rndtda;nはアルキル鎖長を意味する) を各種アミン類と臭化物より合成し, それらの界面化学的性質について検討した。2, 3鎖型コンプレキサンの臨界ミセル濃度 (cmc) は, アルキル鎖長, 鎖数の増加及びスペーサーの長さの減少とともに低濃度側へ移行した。3R8dtda, 3R12dtdaのcmcは1鎖型界面活性剤2-アミノドデカン酸よりも2~3桁小さくなった。2, 3鎖型コンプレキサンのcmcにおける表面張力は, アルキル鎖長, 鎖数及びスペーサーの長さによって著しく異なり, 3R8dtdaが24mNm-1の最も優れた値を示した。3Rndtdaの分子占面積は, R12NAcの面積の3倍あるいは2Rnida, 2Rnedda, 2Rndtdaの面積よりも小さくなった。2, 3鎖型コンプレキサン水溶液は, トルエンと振り混ぜることによりエマルションを形成した。2R12idaは安定なwater-in-oil型エマルション, 鎖長10~12の2Rnedda, 2Rndtda及び3R8dtdaは安定なoil-in-water型エマルションを形成した。鎖長12のトルエン-コンプレキサン水溶液の界面張力は, いずれも1~2mNm-1であった。各多鎖多親水基型コンプレキサンは, 親水性-疎水性バランス (HLB価) が約22のときに高い界面活性能を示し, 3R8dtdaが気-液及び液-液界面において最も効率的な界面活性剤であった。

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