日本油化学会誌
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乳化魚油に対する含窒素リン脂質の酸化防止能
原 節子曽根 環戸谷 洋一郎
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2000 年 49 巻 9 号 p. 937-943,974

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抄録

乳化系における高度不飽和油脂の自動酸化に対する含窒素リン脂質の酸化防止能を評価し, その酸化防止機構を推察した。
その結果, 乳化魚油にPCを添加した系ではいずれのpHにおいてもPVの抑制効果に差は無く, 同程度の酸化防止能を示したが, PEを添加した系ではエタノールアミンの等電点である9.4より酸性側において顕著な酸化防止能が認められた。
そこでモデル化合物として1級アミン~4級アンモニウム塩のアミノ化合物を用いて, それぞれの等電点より酸性側であるpH7.5において自動酸化試験を行ったところ, いずれも顕著な酸化防止能を示したが, アミノ化合物の級により差が見られた。さらに, 脂溶性ラジカル発生剤 (AIBN) と水溶性ラジカル発生剤 (AAPH) を添加して自動酸化試験を行ったところ, PV抑制効果に異なる傾向が観察された。これはアミノ化合物が水層に存在するか, 界面に存在するかによる違いと考えられたことから, 乳化系ではPEのように脂溶性であるか, アミノ基に水素とアルキル基を併せ持つ方が脂溶性になるために酸化防止能を発揮しやすくなると推察した。

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