抄録
建設工事中の斜面崩壊による労働災害は,中小規模工事での被災がほとんどを占めている.これらの背景には,中小規模工事に対応した労働災害防止技術の開発の立ち遅れや,経費に余裕のない中小規模工事においても利用可能な簡易で廉価な計測・警報装置が十分に整備されていないことがある.そのため本研究では,経費に余裕のない中小規模工事にも利用可能なより廉価な計測システムの製作を目的として,半導体加速度センサーを利用した高精度傾斜計の開発および試作を行った.本報では,高精度傾斜計の概要を紹介するとともに,高さ2.2mの室内斜面模型の崩壊実験に基づき,高精度傾斜計による斜面崩壊直前予知の可能性および最適な設置位置等について検証を行った結果を報告する.