2005 年 40.2 巻 p. 39-44
本研究は、最近 10年間における中国の子どもの遊びと遊び環境の変容を明らかにするものであり、今後の中国の都市における子どもの遊び環境の向上に向けての幾つかの指針を得ることを目的としている。近年、中国国内において最も急速に都市化が進行している北京市既成市街地において、 1994年に行った日中の研究者との共同調査の対象地区の一つである北京市既成市街地にある小学校校区を調査対象とした。 1994年に行った調査を踏襲し、まず 10年間における子どもの生活の変化を把握し、それを踏まえた上で 1994年と今回行った調査( 2003年実施)の両結果を用いて比較分析を行った。その結果、生活に占める遊び時間の割合の減少やその遊び集団の年齢構成の変化、また、市街地変容(住宅地の再開発や道路の大幅な拡幅等)に伴って遊び内容の季節毎の特徴が少なくなり通年化が進んでいると共に全体の遊びの種類も減少している等の大きな変化がみられた。