抄録
本研究は,子ども乗せ自転車に関する情報提供および安全教育を通して,子ども乗せ自転車利用者が,より安全な運転を行うようになり,周囲の人々が子ども乗せ自転車利用者に対して,より配慮するようになることで,より安全・安心・快適な子ども乗せ自転車利用環境が形成されるという仮説の下で、情報提供および安全教育の効果を明らかにすることを目的とする.東京および北関東居住者計1,100名に対する子ども乗せ自転車に関する情報提供と、東京都市圏居住者で6歳未満の子どもを持つ計29名に対する安全教室の前後において,子ども乗せ自転車利用に関する意識と行動をアンケート調査によって計測した.分析の結果,Webによる情報提供によって、子ども乗せ自転車利用者層の安全運転および6歳未満の子どもを持たない人々の子ども乗せ自転車への配慮に対する意識が向上し,性別,6歳未満の子どもの有無,子ども乗せ自転車利用経験,居住地などの個人属性による意識の差が解消されうることがわかった.また,情報提供に加えて講義や試乗を行う安全教室の効果は一ヶ月後も継続し,より安全に運転し,子ども乗せ自転車利用にも配慮するようになったことがわかった.