抄録
2016年4月に発生した熊本地震において,益城町では1,562戸の仮設住宅が建設されたが,入居が開始された後もしばらく空き部屋となっている仮設住宅が散見された.仮設住宅への入居が遅れた世帯は避難所での避難生活を続けていたことになるが,避難所から仮設住宅への円滑な移行は,避難所の統廃合・閉鎖において大変重要となる.本研究では,仮設住宅訪問調査のデータを用いて避難所等から仮設住宅への移行期間を把握した.また生存時間モデルを用いて分析を行い,自宅が半壊の世帯,別校区にある仮設住宅へ入居している世帯,運転ができない単身世帯は入居が遅れる傾向にあることを明らかにした.また得られた自由回答データより,生活再建に向けて自立的に動ける世帯と他者の支援を必要としている世帯で移行期間が異なる点を確認できた.