抄録
大規模災害後には,被災者の住まいの選択意向を的確に把握することが,災害公営住宅の建設戸数の算定等に必要となる.この意向は,時間とともに変化するため,世帯属性別の変化の傾向や,その変化の要因を分析することは重要である.本研究は,2016年熊本地震による益城町仮設住宅居住者を対象に,その住まいの選択意向の変化の実態を示し,その要因を分析することを目的とする.この居住者を対象として2016年6~11月,2017年7月に実施した2時点の調査を用いてパネル分析を行う.まず高齢単身世帯で災害公営住宅希望へ意向を変更した割合が多いことなどの世帯属性別の傾向を示す.さらに,住まいの意向に変化があった世帯を中心に,2017年11~12月に追加のインタビュー調査を16世帯に実施した.結果,資金面への不安,地盤への不安など,住まいの意向変化の要因の実態を明らかにした.