日本土木史研究発表会論文集
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明治開拓期における札幌の交通
堂柿 栄輔佐藤 馨一五十嵐 日出夫
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1984 年 4 巻 p. 99-105

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抄録
明治期における北海道開拓の歴史は, 鉄道建設の歴史に見ることが出来る.北海道における政府の開拓政策は明治初年から一貫して進められており, 開拓政策の進展が, 鉄道の建設計画とその運営方式を規制するという状況の下にあった. 北海道で最初に敷設された幌内鉄道は, 石炭の輸送という明確な目的をもって建設された. つまり北海道における鉄道は既になんらかの形で交通手段を持っていた全国のそれとは, 全く違った性格を有していたと言えよう. 北海道の鉄道の歴史はこの幌内鉄道に始まり, 以降鉄道は炭鉱から港湾への石炭輸送, 開拓地からの農産物および開拓者の輸送など北海道開拓を推進したのである。
このように札幌を中心とした交通手段の整備は鉄道建設を上位計画として進められている. 本研究は明治期札幌を中心とした鉄道の建設を年表により時代分類を行い考察するものである. 対象とした期間は北海道に開拓使の置かれた1869 (明治2) 年から, 鉄道国有法の公布された1906 (明治39) 年までとした. この間幌内鉄道の建設を最初に, およそ1300キロメートルの鉄道建設がなされている. 歴史区分は鉄道事業主体の変遷と建設の進展段階とによった.
北海道における鉄道建設の進展は当時の政治, 経済, 社会の状況の下に規定されていた. これを現在の対比として, 明治期の鉄道の歴史を考察することもまた意義のあることと考える. また, 各時代にその鉄道建設を担当した技術者についても若干の考察を行う.
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