日本土木史研究発表会論文集
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吉野川の歴史 (その7)
古絵図によって組立てられた吉野川像
澤田 健吉
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キーワード: 河川, 地図, 近代
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1987 年 7 巻 p. 243-251

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抄録
吉野川の姿を, 農民の治水建白書や明治時代の新聞など, 資料の種類と手法を変えつつ纒めているが, 本論では藩政末期から第1期の治水工事の修了までの間, いろいろな目的で画かれた絵図・地図を見て得たものを纒めた。絵図・地図という視覚的な資料によっているため, 以前の文書資料による場合と異なった考察が出来たと思う。
絵図・地図を纏めて論文として報告する場合, 作者・製作年代・縮尺精度などを検討するようなアプローチが多いが, 本論では江川の締切り・第十堰・西覚円堤・善入寺島など治水工事上重要な地点や有名な地点を取り上げ, その地点において得られる所見を集めた。この方法により, 吉野川の特色・吉野川と人とのかかわり合・今の吉野川との相異点などを纒めることが出来た。
最後に絵図・地図による認識がどの辺りまで及び得るか, 今まで吉野川以外の川で記憶に残っている, 青梅市の成木川と黒沢川・大井川・庄川と小矢部川・筑後川の床島堰の図を紹介した。各河川の一面ではあるが, その点に関しては非常に細かい描写があり, 一つの技術のレベルを知ることが繊来, また指針として別の図を求める助けにもなる。
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