2001 年 21 巻 p. 317-324
城郭石の設計手法および構築手法を推定するための重要な要素のーつに, 現状の石垣断面形状を把握することが挙げられる.また城郭石垣の安定性に, 石垣断面形状が大きく影響していると考えられる.そこで本研究では, 石垣断面形状の設計手法および構築手法について考察するために, 現存の城郭石垣の形状を計測し, 反り曲線勾配部分について数式化することを試み, 現存する城郭石垣に適用したものを例示した.また, この数式化した勾配の式を城郭石垣構築当時における状態の推定に用いることで, 現在多くの城郭石垣で問題となっているはらみ出しの大きさを算出することが可能となった.また, この値を用いて崩壊の危険性をも判断した.