抄録
種々の都市機能の郊外化とモータリゼーションの進展が進行する地方都市においては、その一方で公共交通が加速度的に衰退しており、人々の交通に占める自動車の役割 (運転、同乗ともに) は益々大きなものとなっている。こうしたなかで、身体障害者の自動車への依存は、公共交通に多くのバリアが存在することにより、一層強いものとなっているとともに、特に自動車同乗に多くを頼っている人々の移動制約の増加が危惧されている。
そこで本研究はまず、身体障害者のモビリティを外出指数という指標で数量化し、それと個々の交通機関の利用特性との関連を明らかにした。さらに各交通機関の使い分け行動を定義付けし、それとモビリティとの関連を定量的に分析するなかから、公共交通を基軸にした使い分け行動の特徴についての新たな知見を導出した。