日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
「高知県西南部豪雨災害」における地元保健所緊急対応の報告
森尾 眞介杉本 章二助村 妙脇 節子
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2002 年 49 巻 9 号 p. 934-940

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抄録

 2001年 9 月の高知県西南部豪雨災害において,高知県幡多保健所はこの地域を管轄する保健所として地域住民の健康を守る活動を行った。その活動内容は,(1)災害情報の収集,(2)健康弱者の健康状態の確認,(3)被災地方自治体の健康チェックの支援,(4)避難所の防疫の支援,(5)避難所避難者への医療相談,(6)被災家庭への消毒剤配布の支援,(7)飲料水の検査,(8)廃棄物処理の監視および指導であった。また,必要に応じて災害救急医療における総合調整も行った。これらの活動は,県庁関係課および他保健所の協力の下,緊急対応として日常業務に優先して行われた。特に,被災市町の健康チェックの支援では多くの保健婦が活躍した。県の指導で保健所単位に作成されていた健康危機管理マニュアルは,意志決定およびその実施に大いに有効であった。緊急対応が約 1 週間に及ぶと疲労が感じられる職員も出始めた。緊急対応から通常対応に戻す時期は,過去の水害時の他保健所の活動より決定した。緊急対応では県庁関係課の指示を待つのではなく,保健所職員の経験,知識,即時的判断力で意志決定,実行せねばならない場合が多かった。

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© 2002 日本公衆衛生学会
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