抄録
目的 2004年 1 月~3 月における各都道府県の SARS 対策の実施状況を調べた。
方法 各都道府県の SARS 対策担当部局を対象に質問紙調査を行った。調査では,SARS に関するリスクコミュニケーションおよびクライシスコミュニケーションの観点から必要と考えられる対策の実施状況を尋ねた。対策は,(1)事前対策,(2)情報共有,(3)他県との連携の 3 項目に分類される。
成績 全都道府県から回答を得た(回収率100%)。質問紙調査の結果を基に,先に述べた 3 項目について,対策の実施状況を評価した。その結果,事前対策および情報共有に関する対策については,全体的に実施率が高い傾向が認められた。しかし,低得点である都道府県も少なからずみられ,事前対策および情報共有に関する対策の充実度には都道府県間で差が認められた。一方,他県との連携に関する対策については,多くの県で実施されていないことが分かった。さらに,全都道府県を外国人医師事例関連府県からの距離に基づいて分類した分析の結果より,外国人医師が通過した府県に近い県ほど他県との連携に関する対策の充実度が有意に高いことが確認された(P<0.001,両側)。このことは,外国人医師が通過した府県が外国人医師事例における連携の不備を見直し,隣接県と連携を取決めていることを示唆している。
結論 都道府県における SARS 対策の現状を明らかにするとともに,SARS 流行時における他県との連携に関する取決めの締結の必要性など,いくつかの改善すべき点を指摘した。