日本公衆衛生雑誌
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公衆衛生活動報告
血糖自己測定を糖尿病境界域へ用いる意義と効果をもたらす要因に関する検討 フォーカス・グループ・インタビューによる質的分析
川崎 千恵服部 真理子渡邉 洋子長野 みさ子
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2009 年 56 巻 12 号 p. 875-882

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抄録
目的 糖尿病境界域の人に対する血糖自己測定(以下 SMBG)の活用がもたらす作用を,フォーカス・グループ・インタビューにより質的に分析することで,SMBG を用いる意義と効果をもたらすのに関連した要因を明らかにし,公衆衛生活動における保健指導の手法としての有効性について検討することを目的とした。
方法 糖尿病境界域の人を対象に,3 保健センターで SMBG を用いた自己管理支援事業を行った。事業の参加者のうち,本研究の趣旨に同意した計15人(64.2±5.9歳)を対象にフォーカス・グループ・インタビューを実施し,質的な内容分析を行った。
結果 SMBG を用いることで得られる効果として,「新しい生活行動の獲得」と「血糖の自己管理ができるようになる」を見出した。これらの効果が得られた参加者では,最終的に事業参加後の空腹時血糖値や HbA1c 値が有意に低下していた。また,これらの効果をもたらすのに関連した要因として,「効果をもたらす条件」と「SMBG の特性と作用」が明らかになった。記録やグループワークを取り入れたプログラムを併用し「効果をもたらす条件」を満たすことで,「手軽に使える利便性」と「数値によるインパクト」という SMBG の特性により複数の作用が働き,効果につながっていることが示唆された。
考察 糖尿病境界域にある参加者は,SMBG と記録を認知的技法(セルフ・モニタリング)として活用しながら,血糖曲線および血糖関連因子の理解に基づく生活行動の修正と新しい生活行動の獲得を図り,血糖値の改善に至ったと考える。また,SMBG による効果が得られるよう知識の補足や理解の修正を行い,グループメンバーの相互作用を活用することが,SMBG を用いて保健指導を行う上で必要であると考える。
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© 2009 日本公衆衛生学会
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