抄録
目的 本研究の目的は行政保健師が行う職務への自信とその影響要因を明らかにすることである。
方法 調査は,都道府県と市町村に勤務する常勤保健師328人を対象に,無記名自記式郵送法による任意の質問紙調査を実施した。保健師の自信に影響する職務内容は,文献等を参考に自作し,因子分析によって構成概念妥当性を検証し,信頼性係数を算出して信頼性を高めて分析に用いた。自信に影響する要因は「個人的要因」,「職場的要因」,「現任教育における教育的要因」を設定し,職務に対する自信との関連を分析した。
結果 回答は203人(61.9%)からあり,有効回答117人(35.7%)を分析した。平均年齢は44.1±9.49歳で,就業年数は,新任期6.8%,中堅期59.8%,管理期33.3%であった。所属機関は,市町村保健師77.8%,都道府県保健師22.2%であった。保健師の自信に影響する職務内容は,「行政職としての管理と運営」,「保健指導を基本とした対人サービス」,「科学的根拠に基づく評価」の 3 因子19項目で構成されていた。職務への自信には,「個人的要因」の年代と就業年数,「職場的要因」の所属機関と職位,「現任教育における教育的要因」の学会へ登録していることと事例•事業検討会を行っていることが影響していた。
結論 保健師が職務への自信を獲得するためには,経験を積み重ねるだけではなく,事例や事業を検討して評価し合う,職場の教育体制が重要であることが示唆された。