日本公衆衛生雑誌
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59 巻 , 7 号
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研究ノート
  • 今井 忠則, 長田 久雄, 西村 芳貢
    2012 年 59 巻 7 号 p. 433-439
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/04/24
    ジャーナル フリー
    目的 「生きがい」を測定する簡便な尺度の実用化のために,9 項目から構成される「生きがい意識尺度(Ikigai–9)」の信頼性と妥当性を検討した。
    方法 60歳以上の地域中高年者428人(男性128人,女性300人,平均年齢65.4±4.3歳,範囲60~85歳)を分析対象として,尺度の得点分布,信頼性(Cronbach の α 係数),SF–36v2 との併存的妥当性,因子的妥当性を検討した。尺度は,「生きがい概念の高次因子モデル」を構成概念とし,モデルの観測変数である 9 項目で構成された。回答は各 5 件法で求め,各素点を合計して総得点(範囲 9~45点)および 3 つの下位尺度得点(範囲3~15点)を算出した。
    結果 得点の分布は,総得点および下位尺度得点ともに分散していた(とくに,総得点では統計学的正規性が認められた)。尺度の信頼性は,全体で α=.87,下位尺度ごとでは α=.76~.82であった。総合点と SF–36v2 の身体的健康度(PCS)との相関は無相関(rs=−.05, P=.33),精神的健康度(MCS)との相関は正の相関(rs=.33, P<.001)であり,理論的予測と一致し,併存的妥当性が確認された。また,確認的因子分析の結果,高次因子モデルの適合度は GFI=0.95等と良好であり,因子的妥当性が確認された。
    結論 60歳以上の地域中高年者を対象とした場合の Ikigai–9 の得点分布•信頼性•妥当性は良好であり,高い実用性が示された。
  • 宇佐美 毅, 稲葉 明穂, 吉田 宏, 五十里 明, 富永 祐民
    2012 年 59 巻 7 号 p. 440-446
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/04/24
    ジャーナル フリー
    目的 本研究の目的は,飲食店における受動喫煙防止対策の現状とともに,飲食店禁煙化が経営に与える影響について明らかにすることである。
    方法 愛知県全域(ただし,名古屋市,豊橋市,豊田市,岡崎市を除く)の飲食店8,558店舗を対象として,調査員の訪問調査により,受動喫煙対策の実施状況,禁煙後の来客数と売り上げの変化等を調べた。調査期間は,平成21年11月 1 日から平成22年 2 月末までとした。
    結果 質問に回答した店舗は7,080店舗(82.7%)で,受動喫煙対策の実施状況は禁煙店舗が16.4%,分煙店舗が20.2%であり,残りの63.4%の店舗では受動喫煙対策は未実施であった。
      飲食店の業種別にみると,カレー専門店,ファストフード店,などでは禁煙が進んでおり,バー,焼肉店,居酒屋,お好み焼き店などではほとんど禁煙化が進んでおらず,飲食店の受動喫煙対策は二極化していることが判明した。また,禁煙店舗については禁煙化後の来客数と売り上げは約95%の店舗で変化がなく,来客数と売り上げが増えた店舗が1.5%,減った店舗が3.9%であった。
    結論 愛知県で行われた大規模な,飲食店における受動喫煙対策の実態と禁煙化による経営に関する調査によると,禁煙化による顧客数や売り上げの減少など影響は少ないと考えられた。
  • 勝田 早希, 福島 若葉, 近藤 亨子, 松永 一朗, 撫井 賀代, 廣田 良夫
    2012 年 59 巻 7 号 p. 447-456
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/04/24
    ジャーナル フリー
    目的 基本健康診査による健診情報を活用し,都市部住民における喫煙習慣と生活習慣病の関連を検討する。
    方法 複数年度の健診情報を連結した縦断研究である。2001年度に大阪市全24区の保健センター(現:保健福祉センター)で基本健康診査を受診した63,704人のうち,年齢40~74歳であり,医療機関で疾病治療中でない者を抽出した。さらに,当該年度の健診情報に基づき,以下のいずれかの項目に該当する者を除外した。(1)Body Mass Index≧25 kg/m2,(2)空腹時血糖≧126 mg/dl または随時血糖≧200 mg/dl,(3)HDL コレステロール<40 mg/dl または non-HDL コレステロール≧170 mg/dl,(4)収縮期血圧≧140 mmHg または拡張期血圧≧90 mmHg,(5)問診票の既往歴欄で,「糖尿病•脂質異常症•高血圧•脳卒中•心筋梗塞•狭心症•その他の心臓病」のいずれかについて既往「あり」と回答。曝露要因は,2001年度の健診受診時の喫煙状況,1 日の喫煙本数,Brinkman Index である。結果指標は,2004年度あるいは2005年度の基本健康診査情報(保健福祉センター実施分)に基づき,新規に確認された(a)肥満,(b)糖尿病,(c)脂質異常症,(d)高血圧,とした。解析には多重ロジスティック回帰モデルを用いた。
    結果 2001年度の健診情報に基づき定義した対象者15,639人のうち,2004年度あるいは2005年度に健診を受診し,各結果指標の有無を追跡できた者は,肥満:9,327人,糖尿病:9,273人,脂質異常症:9,273人,高血圧:9,323人であった(追跡率:約60%)。(a)肥満:喫煙状況,1 日の喫煙本数,Brinkman Index について有意な正の関連を認めた。(b)糖尿病:男性でのみ,喫煙状況と Brinkman Index について有意な正の関連を認めた。(c)脂質異常症:喫煙状況,1 日の喫煙本数,Brinkman Index について有意な正の関連を認めた。(d)高血圧:喫煙との有意な関連を認めなかった。
    結論 都市部の基本健康診査受診者において,喫煙が肥満,脂質異常症のリスクを高めるという結果を得た。また,男性で喫煙による糖尿病のリスク上昇が示された。本結果は,今後の特定健康診査において,喫煙に関する保健指導の基礎資料となると期待される。
  • 小川 智子, 中谷 久恵
    2012 年 59 巻 7 号 p. 457-465
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/04/24
    ジャーナル フリー
    目的 本研究の目的は行政保健師が行う職務への自信とその影響要因を明らかにすることである。
    方法 調査は,都道府県と市町村に勤務する常勤保健師328人を対象に,無記名自記式郵送法による任意の質問紙調査を実施した。保健師の自信に影響する職務内容は,文献等を参考に自作し,因子分析によって構成概念妥当性を検証し,信頼性係数を算出して信頼性を高めて分析に用いた。自信に影響する要因は「個人的要因」,「職場的要因」,「現任教育における教育的要因」を設定し,職務に対する自信との関連を分析した。
    結果 回答は203人(61.9%)からあり,有効回答117人(35.7%)を分析した。平均年齢は44.1±9.49歳で,就業年数は,新任期6.8%,中堅期59.8%,管理期33.3%であった。所属機関は,市町村保健師77.8%,都道府県保健師22.2%であった。保健師の自信に影響する職務内容は,「行政職としての管理と運営」,「保健指導を基本とした対人サービス」,「科学的根拠に基づく評価」の 3 因子19項目で構成されていた。職務への自信には,「個人的要因」の年代と就業年数,「職場的要因」の所属機関と職位,「現任教育における教育的要因」の学会へ登録していることと事例•事業検討会を行っていることが影響していた。
    結論 保健師が職務への自信を獲得するためには,経験を積み重ねるだけではなく,事例や事業を検討して評価し合う,職場の教育体制が重要であることが示唆された。
資料
  • 鈴木(齋藤) 智子, 安村 誠司, 岡村 智教, 坂田 清美, 日高 秀樹, 三浦 克之, 岡山 明
    2012 年 59 巻 7 号 p. 466-473
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/04/24
    ジャーナル フリー
    目的 前期高齢者への特定保健指導のあり方について検討するための基礎資料として,前期高齢者における BMI(body mass index)別の医療費,および医療費高値群の特性を明らかにすることを目的とした。
    方法 全国12市町村の国民健康保険に加入する前期高齢者で,2008年度特定健診を受診した29,490人の健診データと,2007~2009年度の平均医療費データを用いた。分析項目は,生活習慣(喫煙,飲酒,運動,夕食後の間食,朝食,睡眠),生活習慣スコア,行動変容ステージ,動脈硬化性疾患の危険因子(高血圧,脂質異常症,糖尿病)の有無とした。医療費は,1 か月あたりの総医療費,外来総医療費および入院医療費を用いた。対象者を BMI (kg/m2)によりやせ群(18.5未満),適正体重群(18.5以上25未満),肥満群(25以上)の 3 群に分け,3 群間で前述の項目について比較検討した。医療費高値群の特性についての検討では,BMI 各群内で,総医療費の低値群と高値群の 2 群間で,生活習慣,危険因子の保有状況を比較した。分析方法は,連続変数には Kruskal-Wallis 検定,2 値変数にはカイ二乗検定を用いた。
    結果 1)男女ともに,肥満群で危険因子ありの割合が有意に多く,やせ群では喫煙あり,生活習慣スコア 3 点未満,行動変容ステージが無関心期の割合が有意に多かった。2)男女ともに,やせ群から適正体重群,肥満群といくに従い総医療費,外来総医療費が有意に高くなっていた。3)男女とも,BMI 3 群いずれでも高血圧,糖尿病ありが医療費高値群で有意に多かった。
    結論 医療費は肥満群で最も高額であったが,肥満群のみならず,やせ群,適正体重群においても,高血圧や糖尿病などの危険因子の保有が医療費高値群の特性として明らかになった。肥満者の危険因子保有割合が高いことや医療費が高額であることについては引き続き注目すべき課題であるが,前期高齢者においては,非肥満者に対しても高血圧や糖尿病などの危険因子の存在について留意した保健指導が求められることが示唆された。
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