抄録
成鵜の網膜電図および終脳ブルスト表面視覚誘発電位に対する閃光刺激強度の影響を調べ, これらの脳の解剖組織学的特長および得られた電気生理学的知見を他の鳥と比較検討し, つぎの結果を得た。ストも, 鴉と同様に, 著しく発達している。
2) 成鵜の加算平均網膜電図のa波の振幅は, 20~40Jで飽和値に達し, c波は刺激の強さが増すにつれて増加する傾向がある。一方, b波は弱刺激の2Jで, すでに, 最高値を示し, 40~80Jではむしろ減少する。
3) 終脳ブルスト表面視覚誘発電位は20回加算平均により, 頭皮内より明瞭に抽出 (約50μV) され, 頭骨内では高振幅波 (150~250μV) が得られた。強刺激の20Jで誘発されるその波形は小さな2, 3の陽性-陰性成分に続き40~50msecおよび96~140msecに頂潜時をもつ陰性波から構成される。