日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
飼料中の種々のアルギニン含量がヒナにおけるエネルギーの利用におよぼす影響
菅原 邦生久保 辰雄田先 威和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 21 巻 2 号 p. 75-81

詳細
抄録
ヒナに対して必須アミノ酸であるアルギニンについて,その含量の変化(不足から過剰まで)に対するヒナの反応を調べた。またエネルギーの蓄積量(ER)と代謝エネルギー(ME)摂取量との関係も調べた。
対照飼料として結晶アミノ酸混合物を窒素源とするアルギニン含量1.0%の精製飼料(CP15.0%)を用いた。実験1ではアルギニン含量を0.25%から1.25%まで0.25%間隔で変化させ,実験2ではアルギニン含量を0.25,0.5,1.0,2.0,3.0,4.0および5.0%に設定した。
8日齢の白色レグホン雄ヒナに飼料と水を14日間自由摂取させ,体重を1日おきに,また飼料摂取量を毎日測定した。比較屠殺試験法によりタンパク質として蓄積されたエネルギーと,脂肪として蓄積されたエネルギーを求め,両者の和をもってERとした。
アルギニン0.25および0.5%区では増体,エネルギーの代謝率(ME/GE),ERおよびエネルギー蓄積率(ER/ME摂取量)はともに対照区より小さかった。いずれの指標にも0.75%,対照および1.25%区の3者の間で有意な差はなかった。アルギニン含量が0.75%以下の時には,増体およびタンパク質蓄積量とアルギニン摂取量との間に高い正の相関がみられた。
対照飼料に1.0%のアルギニソを添加してもアルギニン摂取量以外の測定項目に変化がみられなかった。3.0%以上のアルギニンを添加すると,成長およびエネルギーの利用性は低下する傾向にあったが有意な差ではなかつた。
代謝体重当りのERとME摂取量との間には高い正の相関があり,摂取MEはアルギニンの含量とは関係なく一定の割合で蓄積された。
これらの結果は,ヒナの成長およびエネルギーの利用が飼料のアルギニソ含量の影響をうけ,アルギニンの最小必要量は1.0%よりやや少ないこと,アルギニンの過剰はヒナにほとんど悪影響をもたらさないことを示している。またアルギニン含量が少ない時にみられたERの減少は飼料摂取量の低下と関係のあることが示唆された。
著者関連情報
© 日本家禽学会
前の記事 次の記事
feedback
Top