日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏の肉質に及ぼす飼育密度の影響
高橋 史生山根 由紀子湯村 寛
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 21 巻 3 号 p. 129-134

詳細
抄録
ブロイラー鶏の肉質に及ぼす飼育密度の影響について検索した。ブロイラー鶏の雌を岡山県養鶏試験場で1980年の夏(Exp.1)と初秋(Exp.2)及び秋(Exp.3)に飼育し,飼育羽数は2群に分け,各々3.3m2中で15羽(A群)と60羽(B群)を別々に飼育した。平均飼料摂取量及び生体重量を発育過程で調査し,各群からの浅及び深を含む胸筋を死後変化の実験に供した。平均飼料摂取量及び生体重量は飼育密度を高めると減少した。各胸筋の死後の経時的pH変化はB群の方がA群に比べ,より緩慢な低下を示した。-25℃で約8ヶ月間貯蔵した各胸筋を解凍し,各群のpH変化を検討した結果,凍結前のそれと類似の挙動を示した。筋原線維のフラグメンテーション値は死後初期ではB群がA群より高い値を示したが死後の経過時間と共に逆転した。各群における死後の経時的pH変化やフラグメンテーション値の差はExp.2やExp.3に飼育した試料に比べて,Exp.1,つまり夏季に飼育した試料により顕著に認められた。
解凍筋(Exp.2)を使用して水可溶性成分とTCA-可溶性成分の抽出性を種々のpH条件下で比較した結果,pHの高い条件下では水可溶性成分が,-方pHの低い条件下ではTCA-可溶性成分が多く抽出されてきた。
A群とB群の筋肉中に含まれる水分含量には差が認められなかった。
以上の結果は,鶏の飼育密度を高めて飼育すると筋肉の発育が抑制され,その結果,筋肉の死後変化に種々の差異が生じ,特に夏期に飼育した場合,疎に飼育した群に比べて,死後の筋肉内pH変化や筋原線維の断片化度合いに顕著な差異が認められることを示した。
終わりに,本実験に供試した鶏は岡山県養鶏試験場で飼育管理,生体調整されたものであり,古市比天司氏をはじめ多くの職員の方々の熱心な御協力に謝意を表する次第です。また,論文作製に際し御助言いただいた九州大学農学部深沢利行教授に心から感謝の意を表します。
著者関連情報
© 日本家禽学会
前の記事 次の記事
feedback
Top