日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏のリン酸塩溶液による誘起放卵時における血中アルギニン•バソトシン濃度及び卵殻腺部プロスタグランディン濃度の変動
村上 保人藤原 昇古賀 脩
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1991 年 28 巻 1 号 p. 11-19

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抄録
鶏の放卵に対するアルギニン•バソトシン(AVT)ならびにプロスタグランディン(PGs: PGE2,PGF)の関与を追究するために,リン酸塩溶液を卵殻腺部(子宮部)内に投与して放卵を誘起した場合の血中AVT濃度及び卵殻腺部組織中のPGs濃度の変動について検討した。推定放卵時刻15-17時間前にリン酸塩溶液を投与すると,供試鶏の58%において投与後11.3±0.7(平均値±標準誤差)分で放卵が誘起され,同時に,血中AVT濃度は誘起放卵直後に有意に(P<0.01)増加した。卵殻腺部組織中のPGE2濃度は,誘起放卵直後に有意(P<0.01)に増加したが,放卵30分後には放卵前に近い値にまで低下した。PGF濃度もPGE2の場合と同様の変動を示したが,誘起放卵前後における濃度変化に統計的な有意差は認められなかった。次に,あらかじあインドメタシンを投与した供試鶏にリン酸塩溶液を注入した場合,誘起放卵は観察されず,血中AVT濃度はリン酸塩投与5分後にわずかに上昇したが,その後,大きな変動は認められなかった。一方,溶媒(ゴマ油)を投与した対照鶏にリン酸塩溶液を注入すると,誘起放卵の有無に関係なく血中AVT濃度は増加し,投与10分後には最高値に達した。この場合,リン酸塩溶液投与10分後の血中AVT濃度はインドメタシン処理鶏の同時期の血中AVT濃度に対して有意に(放卵が誘起されなかった場合,P<0.05;放卵が誘起された場合,P<0.01)高かった。以上の結果から,鶏の放卵の際には,卵殻腺部のPGs濃度の増加によって卵殻腺部の収縮運動が活発となり,それによってAVTが放出され,さらに,収縮運動が高まるものと推察された。
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