抄録
妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)を抱卵または育雛中の岐阜地鶏の胸筋肉に連続8日間投与した。PMSGを投与した抱卵中の母鶏11羽中10羽は抱卵行動を中止したが,育雛中の母鶏は育雛行動を継続した。PMSGの投与により抱卵•育雛中の母鶏の卵巣及び卵管重量は増加したが,その増加の程度は抱卵中よりも育雛中の方が劣っていた。PMSGの投与により血漿エストラジオール濃度もプロジェステロン濃度もともに上昇した。しかし,育雛中のエストラジオール濃度の上昇は抱卵中によりもやや遅れ,プロジェステロン濃度の上昇は明らかに遅れ,しかも上昇程度が低かった。以上の結果は,抱卵または育雛中の母鶏の卵巣が性腺刺激ホルモンに対して反応し得ることを示すものであり,その反応性は抱卵中より育雛中の方が劣るものと推察された。