抄録
鶏肝臓に存在するトリアシルグリセロール(TG)分解活性のほとんどのものは反応至適pH 6.0,至適温度40℃を示し,この分解活性は産卵鶏血清で強く阻害された。この活性は若齢期の雌鶏では高い活性を示すが,145,167日令では若齢期の雌鶏の2分の1以下へ著しく低下した。比較のため雄鶏でも検討したが,雄鶏ではむしろ日令と共に増加する傾向があった。雄ヒナにエストラジオールを投与すると,血清,肝臓の脂質含量は著しく増加したが,肝臓のTG分解活性は著しく抑制されていた。以上より,エストラジオールにより産卵のための脂質合成の充進と同時に,脂質分解の抑制が行われていると考えられた。